小児の運動器は成長を伴うことから、成人の運動器の疾患、外傷の治療とは異なります。四肢の骨折では、放置して変形が一時的に残ったとしても成長が変形を矯正してくれることが多いものですが、成長が矯正できない変形タイプや程度が存在し、その見極めが大切です。成長期の骨には骨端線という軟骨があり、この部分で骨は成長していきます。骨端線は脆弱で、損傷を受けやすい部分でもあります。直接的な外力で骨端線の離開や周囲の骨折が起こりやすく、慢性的な負荷によって障害を呈しやすい部分でもあります。成長期では靭帯の実質損傷よりも付着部の裂離骨折が多いことも特徴です。外傷性の脱臼は必ず整復しておかなければなりません。
6歳 足関節外外果裂離骨折
受傷後2カ月 骨癒合良好
先天性股関節脱臼は先人の啓蒙活動の成果で、以前に比べれば発症は少なくなっていますが、きちんとした診察、検査が必要です。
スポーツの場面でも成長期における障害は特徴的です。使い過ぎによって生じる典型的な関節障害として野球肘やリトルリーグショルダーがあります。
リトルリーグショルダー
(上腕骨近位骨端線離開)
16歳 野球肘(上腕骨外顆離断性骨軟骨炎)
14歳オスグッド・シュラッター病
そのほか、成長期に特徴的な疾患骨端症と呼ばれる骨の末端の骨壊死があり、股関節内大腿骨に生じるペルテス病は有名です。放置することはできず、装具療法や手術療法が適応となります。
O脚やX脚、内反足なども小児整形外科の守備範囲です。
0歳 内反足
徒手矯正ののちギプス固定
小児の運動器の外傷、疾患でも手術が必要となることも多く、その場合は適切な医療機関を御紹介いたします。
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